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中古端末のSIMロック解除が義務化されました(2019/09/01より)

 

2019年9月1日、ついにSIMロックの解除が義務化されました。

 

この件は興味があってずっとヲチしておりましたのでブログ記事として書いておきたいと思います。

 

これまでのおさらい

 

これまでのおさらいと申しましても、携帯キャリアのSIMロックに関する歴史はフィチャーフォンの時代から続いているものでして、全部書くと相当に長くなりますので興味のある方はWikipediaの当該ページあたりをご覧になっていただいた方がよろしいかと思います。

 

ここでは比較的最近の流れだけを少しご紹介したいと思います。

 

平成30年8月28日、総務省より「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」及び「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」の改正案についての意見募集の結果及び改正指針等が公表されました。

 

総務省|「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」及び「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」の改正案についての意見募集の結果及び改正指針等の公表検索

 総務省は、「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」及び「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」の改正について、平成30年6月7日(木)から同年7月6日(金)までの間、意見募集を行いましたので、その結果とともに、当該指針等を公表します。

 

これにより「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針(平成30年8月28日最終改正)」がが同日より適用されることとなりました。

 

この中に

 

以下引用

I 移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン
 4 SIMロック解除の円滑な実施
 (1) 対象となる端末
  ①事業者は、原則として自らが販売した全ての端末についてSIMロック解除に応じるものとする。

 

が明記され、平成27年5月1日以降発売の機種で特殊な端末を除くなどの条件はありますが“購入者本人以外による中古端末の”SIMロック解除が義務化される事になりました。

 

適用日については、

 

以下引用

I 移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン
 6 本ガイドラインの適用等
 (1) 平成30年8月28日の改正後の本ガイドラインの規定は、同日より適用する。ただし、4及び5の改正箇所については、平成31年9月1日から適用する。

 

となっておりまして、4及び5の改正箇所というのがまさにSIMロック解除義務化に関する部分ですので、本指針は平成30年8月28日適用ではありますがSIMロック解除義務化は平成31(令和元)年9月1日から適用という事になっていました。

 

この「適用日」は当初2019年7月でしたが、KDDIの猛反発によって9月に延ばされたと、こちらの記事に書かれています。

 

総務省の指針にKDDIが猛反発? 中古スマホ「SIMロック解除」義務づけのウラ側 - 社会 - ニュース|週プレNEWS[週刊プレイボーイのニュースサイト]

『週プレNEWS』は、集英社「週刊プレイボーイ」運営のニュースサイト。男の好奇心を刺激する最新ニュースをお届けします!大手キャリアによる"囲い込みビジネス"に風穴をあける指針を総務省が打ち出した。来年9月から、中古スマホに対してのSIMロック解除がキャリアに義務づけられるからだ。 その過程でKDDIは猛反発。格安S...

 

個人的にキャリアによるSIMロックについては思うところがあり指針の公表後の約一年間、状況を注視してきました。

 

ドコモの対応

 

この指針を受けてドコモでは他社にさきがけて既に2月に購入者以外による中古端末のSIMロック解除に対応しています。

 

中古で購入された携帯電話機等の手続き | お客様サポート | NTTドコモ

中古で購入された携帯電話機等の手続きについてご案内します。

 

中古端末のSIMロック解除についてかいつまんでまとめますと、

 

  • パソコン・スマートフォンからのオンライン手続きは24時間無料、受付可能台数制限なし。
  • ドコモショップでの手続きは一台あたり3000円(税抜)、1回の受付で一人2台まで。

 

期限ギリギリまで粘ったKDDIやソフトバンク(以下SBM)とそれらのサブブランドに比べると神対応ですね。しかもwebで手続きすれば無料で店舗に出向く手間もかかりません。

 

ソフトバンクの対応

 

SBMは9月1日を目前に控えた8月21日に購入者以外による中古端末のSIMロック解除に対応しました。

 

ソフトバンクの携帯電話を他社で利用する/SIMロック解除 | スマートフォン・携帯電話 | ソフトバンク

ソフトバンクの製品でSIMロック解除を行う場合のお手続き、注意事項、対応機種に関してご案内いたします。

 

このようにサポートのページをひっそり書き換えただけでニュースリリースなどは一切出されていません。

 

しかもドコモのように無料のweb手続きは購入者以外には一切用意されておらず店舗での有料(税抜3000円)手続きのみです。

 

KDDIの対応

 

結局、9月1日の朝になっても何の発表もありませんでした。

 

下は8月1日時点の魚拓ですがこのままでした。

 

SIMロック解除のお手続き | スマートフォン・携帯電話をご利用の方 | au

SIMロック解除の方法・お手続きについてのご案内のページです。au携帯電話でSIMロック解除を行う場合のお手続き方法およびご注意事項をご案内いたします。一部お手続きはオンラインでも行えます。

 

AM9:00になってもサイトが更新されていないのを確認して157(私は契約者ではないので0077-7-111)に問い合わせました。

 

 

はい。SBMと全く同じのガッカリな内容です本当にありがとうございました。

 

その後AM10:00頃になってサイトも更新されました。

 

SIMロック解除のお手続き | スマートフォン・携帯電話をご利用の方 | au

SIMロック解除の方法・お手続きについてのご案内のページです。au携帯電話でSIMロック解除を行う場合のお手続き方法およびご注意事項をご案内いたします。一部お手続きはオンラインでも行えます。

 

サポートのページをひっそり書き換えただけでニュースリリースなどは一切出されていないのもSBMと同様です。

 

当日の朝、私と同じようにKDDIの発表を待ち構えていた方がTwitter上だけでも何人もいらっしゃいましたので私のこのツイートがちょっとバズった(という程でもないですが)みたいになってしまいました。

 

なので、もう少しこの時の問合せ内容をここに詳しく書いておこうと思います。

 

au客センとのやり取り

 

だいたいこんな感じだったかと思います。記憶をもとに書いてますので細かい言い回しは異なると思います。

 

私「御社と回線契約してないのですが、中古端末のSIMロック解除の方法についてwebサイトに記載が無いので教えて下さい」

 

au「はい、SIMロック解除につきましては本日から運用が変わっておりまして弊社のニュースリリースに書かれております通り…」

 

私「そんなリリースはどこを探しても無いのでurlを教えて頂けますか?私は“SIMロック解除のお手続き”というサポートのページを見ながら電話しているのですが」

 

au「えっ?しょっ少々お待ちください」

 

-しばし待ちます-

 

au「お待たせいたしました。たしかにお客様のおっしゃる通りサイト上には記載がございませんでした」

 

私「それはサイトの更新が遅れているという事でしょうか?」

 

au「左様でございます」

 

私「では、それはそれとして当初の質問に答えていただけますか?」

 

-さきほど載せた埋め込みツイートの内容を聞かされます-

 

私「これはサイトの更新が遅れているだけで既にKDDIさんの内部的にはこの内容が適用済という事でよろしいですか?」

 

au「左様でございます」

 

私「サイトの更新が遅れているような状況で各店舗への周知はきちんとされているのですか?」

 

au「店舗の方には既に周知いたしておりますので大丈夫です」

 

私「もしショップに出向いて「聞いてない」と言われたらどうすればいいですか?サイトが更新されていないとそのような店員に説明できないのですが」

 

au「そのような場合は店舗からお客さまセンターへお電話ください。対応させていただきます」

 

私「分かりました。ありがとうございました」

 

こうして改めて見てみますと、サポートのページをひっそり書き換えただけでニュースリリースなどが一切出されていないやり方のせいで、現場も混乱していたのではないかという事が伝わってきます。

 

これでいいのかKDDI

 

私自身はこの後、9月2日にauショップへ出向いてiPhoneSEを持ち込み一時間待ち(非契約者は来店予約できないのはひどい)の末、身分証明書のコピー(盗品かどうかはIMEIで照合すれば分かるはずだし中古品の流通過程のひとつでしかない私の個人情報を得る必要性が不明。情報の使途の説明も無し)を取られ現金で3240円(高すぎると思います。実働5分の単純作業ですよ)払ってSIMロックを解除してもらいましたが、ツイッター検索で見ますとトラブルに見舞われた方の声が多数見受けられます。

 

私が問合せの電話のとき懸念したように店舗で「聞いてない」「やってない」と言われるパターン。やっぱり多数発生してるみたいです。

 

あとシステム障害?でエラーが出てSIMロック解除に失敗するパターン。これはツイッターだけでなく私が行ったauショップの店員さんもおっしゃってました。原因、発生条件ともにその時点では「不明」だそうです。

 

これを一時間待って自分の順番が回ってきてカウンターに着席してから初めて言われるのですよ。

 

「さんざん待たされた挙句にエラーで失敗なんて事になったら客は激怒でしょう?」と聞いたら「そうなんですよ~」と憔悴している様子。

 

でも、これは入店してすぐ案内係みたいな人に用件伝える時(待たせる前)に「只今待ち時間が○くらいになりますがよろしいでしょうか」と同時に一言、「ただいまシステム障害で解除に失敗する可能性があるのですがよろしいですか」と言えばいい話だと思うんですけど…。用件伝えてるんですから。

 

前から思ってますが携帯ショップ店員は客を怒らせないような気配りを事前にできない人が多い。そんな印象はMVNOに移ってしばらくぶりに訪れたauショップでも変わる事はありませんでした。

 

おそらくこの障害について客にうまく説明できずトラブルを避ける為、「聞いてない」「やってない」で誤魔化しているパターンもあるのではないかと推察します。

 

下の記事を見ますとKDDIは“店舗でどんな方が来られるのか見ながら(確認した上で)解除する”なんて言ってますし面倒臭そうな客にはそういう方便を使ったっておかしくありません。

 

中古端末の「SIMロック解除」 なぜauとソフトバンクは「来店」のみ? - ITmedia Mobile検索

大手キャリアが中古端末や他者から譲り受けた端末の「SIMロック解除」に応じ始めました。しかし、Webでの手続きが可能なのはNTTドコモだけ。auとソフトバンク/Y!mobileは来店手続きのみ受け付けています。なぜ、このような違いが出るのでしょうか……?

 

そもそも論として、これらのトラブルはもっと期限までに余裕を持って告知をしサービス開始していれば防げた可能性が高いと思われますので、総務省への当て付けだけを考えて9月1日まで対応を引っ張ったKDDIが諸悪の根源なのですが。

 

一年も準備期間があったのにその間何してたんですか?って話です。

 

KDDIの視線は総務省だけを向いていて、消費者は一切視界に入ってないように思います。

 

UQモバイルもおかしい?

 

サブブランドであるUQモバイルのSIMロック解除条件(2019年9月1日時点)にもどこをどう解釈しても納得できない点があります。

 

「当社の回線契約を解約済みのお客さまにおける、SIMロック解除のお手続き可能期間は、解約後100日以内となります」

 

という条件が残っているのはどう考えてもガイドライン違反なんじゃないかと思うんですが、これはどういう解釈なんでしょうか?

 

総務省の「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針(平成30年8月28日最終改正)」ではSIMロック解除の請求に応じなくてもよいとされているのは

 

以下引用

I 移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン

4 SIMロック解除の円滑な実施

 (1) 対象となる端末

  ②ただし、

 ア「端末の割賦代金等を支払わない行為又は端末の詐取を目的とした役務契約その他の不適切な行為を防止するために、必要最小限の措置として事業者が最低限必要な期間SIMロックを維持する場合」

イ「SIMロック解除が請求された端末が盗品その他の不正に取得されたもの又は代金が支払われないものと確認された場合」

 

のア、イ2つのみなのですがどちらにも該当しないんじゃないですか?

 

これは本気で意味が分かりません。

 

またUQに関してはもう一つ、店舗での対応が無く電話での対応のみなのに手数料取るのはいいのか?という疑問もあります。

 

指針では「インターネットや電話等の迅速かつ容易な方法」は無料と謳っているのでは?

 

まあ、私の中でKDDIという会社のイメージだけは固まりました。悪い意味で。

 

当面、と言いますかおそらく二度とここと契約する事はないと思います。

 

webで無料対応しないと違反じゃないの?について

 

ツイッター検索して見ますと「なぜSBMとKDDIはドコモみたいにwebで無料対応じゃないんだ!ガイドライン違反じゃないのか?」という声が多数見受けられます。

 

これは、「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針(平成30年8月28日最終改正)」に以下の記載があるからです。

 

以下引用

I 移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン

4 SIMロック解除の円滑な実施
 (2) 利用者からの請求に応じて行うSIMロック解除に関する手続
 ① 事業者は、インターネットや電話等の迅速かつ容易な方法により、無料で(注3)SIMロックの解除を行うものとする。

(注3) 事業者が無料でSIMロック解除可能な代替手続を設けているにもかかわらず、利用者の選択により店舗等での解除を行う場合には、事務手数料を請求することを妨げるものではない。また、既に自社の役務契約を解約した利用者について、店舗での解除を行う場合には、事務手数料を請求することを妨げるものではない。

 

ごく普通に読めば今回のSBMやKDDIのように店舗で解除を行う場合に手数料を請求するのは問題ないが、前提としてインターネットや電話等の迅速かつ容易な方法が無料で提供されている必要があるように読めます。

 

私も素直に読めば個人的には違反だと思います。

 

では何故、8月29日に総務省が開催した「モバイル市場の競争環境に関する研究会」と「ICTサービス安心・安全研究会 消費者保護ルールの検証に関するワーキンググループ」の合同会合でも総務省は何もダメ出ししていないのでしょうか?

 

これは総務省は最初から抜け道を用意しつつ、公表当時の与党の支持率の為に分かりにくい表現で消費者をぬか喜びさせる意図があったのではないかと推察します。

 

もったいぶらずにカラクリを申し上げますとこの指針、ひとつの指針の中で「利用者」という単語が指し示す対象がコロコロ変わっているのですよ。

 

某巨大掲示板に「なるほどなぁ」と思った解釈が載っていましたので引用します。

 

以下引用

「新品時に契約した【利用者】が、用意されているオンライン無料解除を利用しない選択をして」端末を売却し、「中古を購入した【利用者】は」は、「以前の利用者の選択により」オンラインでの解除を選ばなかったため、店舗のみでしか解約できないものとする。

 

こんなの普通はありえませんよ。一つの文章の中で使われる呼称の対象が変わるなんて。

 

私でさえ歌詞を書くときに一曲の中で私・僕・俺などの一人称を混在させず統一させてますが、それと同じくらい文章の基本です。

 

こういう文章書くのは基本ができてない人だけです。総務省の役人がそこまでレベルが低いとは思えませんので、誤魔化しの為に意図的にこういう通常ありえない表現を使ったとしか思えません。

 

SBMとKDDIに対して総務省のお咎めが無いのは、この解釈しか考えられないのであります。

 

まあ、そこら中で「課金しました」とか「納車しました」なんておかしな誤用が一般化してしまっているご時勢ですので単純に文章力が無いという可能性も否めませんが…。

 

どうしても納得できない方、また店舗にてガイドライン違反の行為に遭われた方は下の情報受付フォームより総務省に通報できます。